【ブックレビュー】子どもの英語にどう向き合うか〜子どもの時に学んでおくこと〜

girl studying english

子どもの英語教育について書かれた本書をレビューします。

本書のおかげで子どもの英語教育は「ペラペラに話すことをゴールにしなくても良い」と考えを整理できました。

本書では著者の鳥飼玖美子(立教大学名誉教授)氏が自らの英語歴を振り返ります。

さらに、早期英語教育について「英語教育はどこかの段階できちんと読み書きを含め体系的に英語を学ばないと大人の英語にはならないため子どもの英語教育は英語を嫌いにならない程度でよい」という結論を出しています。

著者は元々、同時通訳者としてキャリアをスタートした方で

なんとアポロの月面着陸の実況中継がテレビデビューだそうです!

歴史的な瞬間に立ち会われてますね!

ちなみに今も太田光のつぶやき英語(2024年11月現在 @Eテレ)に出演されてますね。

目次

本書の紹介

表紙
子どもの英語にどう向き合うか 表紙

著者

著者の鳥飼玖美子さんが英語に興味を持ったきっかけは小学2年生の頃の体験にさかのぼります。

著者は近所に住んでいたアメリカ人の少女と遊びたいと思ったものの言葉が通じず、お互いに見つめ合うだけでした。

そこで、母親に英語での名前の聞き方を教わり翌日 “What’s your name?” と話しかけたことが、英語に触れた原体験とのことです。

話したい!という思いが伝わりますね。

著者のキャリア

  1. 通訳者としての活動  : 1966年から国際会議の同時通訳者として活動を開始。
  2. メディア出演     : 木島則夫モーニングショー(初めてのワイドショー番組)に準レギュラーとして出演。
                 1969年にはアポロ11号の月面着陸の生中継を担当。
  3. 教育者としての活動  : 立教大学等多数の大学で教鞭を執る。
  4. NHK英語講座     : 1971年4月から「百万人の英語」の講師を21年間務めた。
               :「ニュースで英会話」の講師・英語監修を担当。

本書の詳細

  • 本の題名:子どもの英語にどう向き合うか
  • 作者名 :鳥飼玖美子
  • 出版社 :NHK出版新書
  • 発売日 :2018/9/10

印象に残ったこと

子どもの英語学習における現実

子どもに英語を学ばせたい、さらにバイリンガルに育てたいと考える親御さんは少なくありません。

しかしながら、ネイティブのように朝から晩まで英語に触れる訳ではないため日本に住んでいる限り子どもが英語に触れる時間は圧倒的に少ない事が一般的です。

そのため、親が期待するほどの英語力が身につかないケースは多いとのことです。

特に小さい頃に学ぶ英語は大人が話すような英語とは別物です。

幼児期以降の継続した英語学習が大切です。

英語に触れる時間を補うために現在は英語動画を見せるようにしてますね

英語教育史

江戸時代は鎖国しており海外からの訪問者とコミュニケーションをとるため

開国場所である長崎の通事が活躍していました。

通事は家業として外国話者としての技能を代々維持しており優秀な後継ぎがいなければ外部の方を養子にしていたそうです。

当時はそれくらい海外の情報を得るために重要な職業でした。

さらに明治〜昭和の戦争中(エリート層)も英語教育は継続されたとのことです。

そして戦後から現在にかけて経済界からは「ビジネスで使える英語」が要望されており

「6年間学習しても使える英語にならない、もっと早くから学習させる」という趣旨で小学校の英語教育が始まっています。

筆者が疑問を呈するのは「なぜ日本人は英語にだけ高い要求水準を持つのか?」という点です。

体育や音楽がうまくできなくても怒る人はいませんが英語は6年かけて勉強しても話せないと憤ると例を引いています。

授業や受験勉強を通じて勉強時間とってますからね

そもそもネイティブスピーカーは朝から晩まで英語に触れますが日本で教育を受けても週に3〜4時間ほど。圧倒的に接する量が違います。

話せなくて当たり前ですし言語の習得は自転車やパソコン等の道具を使えるようになる事とは違うというのが筆者の主張です。

筆者は言語にはその国の文化や歴史、心が複雑に絡んでいるため道具とは異なると理由を述べています。

たしかに、学校教育だけ受講し話せないという問題は一週間に数時間程度の学習という圧倒的に物量が足りない事が原因と思います。

それを補うために早期教育をと開始していますが学校の先生も英語教育のプロではないですし

そもそも無理があるように思います。

学校は日本語で英語の構造を学ぶ場所ですから

コミュニケーション英語まで求めるのは難しいように感じます。

母語で思考力をつけた後、文法を学びコミュニケーション英語も

発展させていけばよいのではないでしょうか。

発達心理学の観点からは初めに母語の習得が大切

発達心理学の観点からは子どもが順調に母語を獲得することが、その後の外国語学習だけでなく学習全般の支えになるそうです。

発達心理学の内田理子氏が

児童期に英会話塾に通ったことのある生徒と帰国子女の「英語既習者」グループと

幼児期/児童期に英語を習ったことのない「英語未習者」グループの両方に

中学1年の終わり頃に英語学力テストを受けてもらって比較したところ2つのグループには全く差がなかったそうです。

学力で重要な事は学習習慣の有無と本書では説明されています。

確かに発音は小さい頃から訓練しておくと英語らしくなりますが国際共用語という視点からは発音はそこまで重要ではなく

むしろ話す内容が問われると本書は述べています。

なお学力という観点からは受験偏差値68以上の難関大学を卒業して難関試験(司法試験、国家公務員試験、医師国家試験など)を突破した子どもを持つ親は就学前の幼児期に

「子どもと一緒に遊び、子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませた」と答え、絵本の読み聞かせもたっぷりしていたとの研究結果が出たそうです。

つまり子どもと一緒に楽しむタイプの親が多かったそうです。

子どもの自主性を伸ばすことが大事ですね

筆者も本書で書いていますが、「エリート」は人生の目標ではないものの、学習する習慣をつけて学力を付けるという観点からは一つの参考になりますし勇気付けられました。

まとめ

本書を読んで「英語を身に付けるには幼児教育だけでは不十分のため幼児期に他の事を犠牲にしてまで英語ペラペラになることに大きな価値はない」と感じました。

それよりも子どもが好きなことに熱中し母語による思考力を身に着けて、以降の学習習慣が身に付くことの方が大事と思いました。

学校の勉強だけでなく大人になってからも学習はずっと続きます。

変化の激しい時代、自分をアップデートしていかない生き残っていけませんからね。

一方、子どもの英語教育は全く無意味でもなくて、英語を好きになってくれれば以降の学習のモチベーションにつながと私は考えています。

うちの子は幸い英語に慣れてくれたようです

子どもが学習習慣を身に着け継続的に英語を勉強し、海外の方とコミュニケーションを取って違いを認める中で

寛容性を身に着けてくれること、また新たな出会いを楽しいと感じてくれれば思います。

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